プロジェクトのスタートは、2010年12月。
私たちは、さまざまなビジネス分野と森を新しい発想でつなげていく
more treesの森林保全活動に共感しました。
三陽商会らしい自主的な社会貢献のありかたとは何か?と考えていた私たちにとって、
この出会いはひとつの「発見」でした。
そして、「アート」という新しいアプローチにたどりついたのです。
今回のプロジェクトは私たちにとってのひとつのチャレンジでした。
プロジェクトは、「協働」をテーマに、かかわり合う人々が得意とする分野の
知識や技術をもちより、「モノづくり」に集約させていく仕組みとなりました。
もちよったリソースは大きく3つ。三陽商会が国内に蓄積してきた「縫製技術」や
「職人達の匠の技」。more treesが国内の森づくりの過程で生まれた「国産材」。
そして、この2つのリソースを、アートに集約させるアーティスト栗林隆の「発想力」。
ここに、プロジェクトの骨格が出来上がりました。
三陽商会の創業は1943年。
1946年にはレインコートの販売をスタートし礎としました。
私たちは、当時から日本国内での生産にこだわってきました。
その流れは今も変わりません。現在では、東北・北陸地方に、
三陽グループとして5社の生産拠点をもっています。
そこには、高度な縫製技術が蓄積されており、
特にサンヨーソーイング青森工場はコートの縫製技術にすぐれ、
三陽商会の主力商品の一角を手がけてきました。
今回のアートピースを制作したのは、この青森工場の職人達。
今まで手がけてきた商品とは異なる「アートピース」という初めての
アイテムへの興味と、アーティスト栗林氏とのコラボレーションを経て、
職人達のモチベーションは最高潮に達しました。
今回のアートピースには多彩な縫製技術が用いられています。
たとえば、7巻半の根巻きボタン付けの技術、
生地の特性やディティールに合わせた縫製手法等は、
そのほんの一例です。
more treesは、国内外で森林保全を推進している団体です。
地球規模で深刻な森林破壊が進む中、
森づくりによってCO2(二酸化炭素)の吸収力を高め、
「カーボンオフセット」の普及に努めています。
また同時に、森の持つ保水力や生物多様性などの多面的な機能を
回復させることを目指しています。日本の森林整備のほか、
熱帯林の再生保全、砂漠の緑化、マングローブの植林と、
世界各地での森づくりを推進しています。
これまで国内では北海道から九州まで8か所での森林整備を、
海外ではフィリピンでの植林プロジェクトを展開しています。
今回の作品に使用したオガコは、「more treesの森」がある、
高知県四万十川流域から採れた国産ヒノキ材を使用しています。
栗林氏は、これまで「境界線」をテーマに
作品づくりに取り組んできました。
彼は、その象徴的な動物としてペンギンと
アザラシの作品や、「境界線」をそのまま
体感できるような巨大なインスタレーションを
数多く手がけています。
海外における評価が高く、
現在では国内での認知も拡大しています。
今回、彼が生み出したアートピースは2つ。
どちらもキングペンギンをモチーフとしています。
1つは、建築廃材を粉砕し圧縮した素材から作り出された
キングペンギン型の木のトルソーに、
専用のコートを着せたもの。2つ目は、
キングペンギンを再現したバッグ形の
アートの中に、ぎっしりと四万十ヒノキの
おがこが詰め込まれたものです。
バッグについては、リプロダクト版を制作し、
販売することも決定しています。
アートピースは、
7月29日(金)、30日(土)、31日(日)に、
有楽町の東京国際フォーラムにて
開催される 「アートフェア東京」の
more treesブース内において展示されます。
このイベントはもともと4月に開催される予定でしたが
3月11日の震災のために、
イベントそのものの延期が決定しました。
アートピースを制作していた
サンヨーソーイング青森工場も被害を受け、
一時はプロジェクトの火が消えかけました。
しかし、職人達の思い、私たちの思い、
more treesの思い、栗林氏の思いが重なり、
プロジェクトの継続を決定。
また、延期となっていたアートフェア東京が
7月に開催されることも3月末に発表され、
ますます弾みとなったのです。
今回のアートピースの収益はmore treesにより森林保全のために活用されます。
また、現在more treesが東北支援プロジェクトとして展開している
「LIFE311」(http://life311.more-trees.org/)の寄付金としても活用されます。

また、三陽商会では、募金活動や防寒衣料などの物資による
東北復興支援活動 「Hand In Hand」を立ち上げ、
継続的な取り組みを実施しております。